人生は割と想定外

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様々なジャンルのニッチな話題を一方的な独断と偏見で深掘りしてく雑記ブログ

ヒマの過ごし方

病院での日々はヒマだ。

楽しみといえば1日3回の食事と、夕方くらいに衣服の交換に来る家族との会話程度しかない。それ以外の時間はほんとにやることがない。現在収容されている病室も、出入りが激しいのとカーテンで仕切られており、同居患者の顔すら見えない。

 

今同居している患者は、カーテン越しに見えるシルエットと、咳き込みの声や看護師さんとの会話から旧式の爺さんだと推測される。どこかのタイミングで会ったら挨拶しようかな、とか思ったが、爺さんは年中オナラをしている。最近では良いBGMに聴こえるようになった。

 

つい数週間前までは、朝からすし詰め電車で会社に出勤し、ブーたれながら粛々と仕事をこなすサラリーマンだった。病気で仕方なく休んでいるのでクビになる心配はないが、なかなかヒマというのは厄介だ。

 

私の病気はやや特殊で、当初は極力ベッドでの安静と言われていた。痛みもなく元気なのに動くなと言われるのは辛い。そして、入院して間もない頃は絶食状態だったので空腹との戦いだった。少しでも空腹を忘れるために寝るかスマホでゲームとネットばかりやっていた。そしたらあっというまに速度制限がかかりストレスで胃が痛くなった。今も速度は遅いままだが慣れてしまった。表示しなくなるわけじゃないし、気長に待っている。慣れは怖い。

 

ベッドには備え付けでテレビがあり、自由にみることができる。ただし1000円で10時間しか見せてくれないカード式テレビだった。私は少しショックを受けた。入院したくてしたわけじゃないのに視聴料を取るだなんて…。しかしヒマは手強く、巨大で、ヒマの過ごし方について訓練していない私はテレビの誘惑に負けてテレビカードを買ってしまった。

 

普段、私はテレビをそこまで観る方ではないが、プロレスとお笑い、あと深夜のNHKは割と攻めてるので好きだ。が、今回はヒマの過ごし方なので長い時間を過ごせなければ意味がない。そんな期待を込めて高校の夏休み以来となるテレビをじっくり観た。昼間のワイドショーの井戸端会議具合はそこそこ楽しめた。が、とてつもなくどうでもいい情報を真剣な顔したコメンテーターが討論するという、まさにエンタメ的な内容で胃がもたれた。

 

楽しい(?)時間はあっというまに過ぎ、テレビカードもわずか1日で切れてしまった。じっくり観たはずなのに内容が記憶に残っていないのがさらに凄い。

 

テレビも飽きた頃、友人が見舞いにきてくれた。友人は何冊かの熟女エロ本と週間プロレスをくれた。友人らしいいつもの自分への雑な扱いがうれしかった。ヒマを潰すため、エロ本は広告欄にもじっくり目を通し、女優画像の加工の甘い箇所を見つける時間に費やせた。週間プロレスはコラムをじっくり読んだ。ライターさんごとに特徴ある記事や文章構成でなかなか楽しめた。

 

そして今に至るのだが、こうして考えてみると、ヒマは一見悪者のように見えるが、ヒマな時間があるからこそ色々なものに触れる時間や新しいことに興味を持てるとても良いことだと感じた。この感覚に近くて、さらに深いことをスチャダラパーが『ヒマの過ごし方』という曲でラップしてたっけ。

 

聴きたいけどスマホが速度制限でYouTube固まって見れない…寝るか。。